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2022.06.15
真珠養殖発祥の地、英虞湾

真珠養殖発祥の地、英虞湾

日本の三大リアス式海岸であるここ志摩市英虞湾は非常に海が穏やかで、周りが山々に囲われていることから植物性プランクトンがとても豊富にあります。その植物性プランクトンが貝にとっての餌となり、この穏やかな海と豊富な餌の中ですくすくと成長したあこや貝が綺麗な真珠を育みます。

今からおおよそ130年前、御木本幸吉によって開発され、磨かれた養殖技術は代々引き継がれ、中国やタヒチ、インドネシアなど世界中に広がりました。

今回は伊勢志摩の真珠養殖について簡単に解説をしていきます。

 

真珠が出来るまで

【人口採苗】

3月の上旬、貝殻内面の色が美しいもの、殻幅の厚いものなど母貝にふさわしい貝から卵子と精子を選別し、水の中で人工的に受精させます。その後、誕生した稚貝をプラスチック製の網に付着させ、水槽の中で育てていきます。

【母貝の養殖】

4月から5月の上旬、2mmほどに成長した稚貝は養殖カゴに移され、海の中に移動し移植が出来る大きさに成長するまで育てられます。その際重要となってくるのが貝の表面の掃除です。貝の表面に付いた海藻やフジツボ、カキと言った付着物は貝の成長を妨げてしまうのでこまめに掃除をしてあげる必要があります。

【インプラント手術準備】

母貝が挿核手術の可能な大きさにまで成長すると、調整ボックスと呼ばれる箱に入れられます。この箱はとても通気性が悪く貝はだんだんと弱っていきます。貝にとっては過酷な状況ですが、これはこの後の、陸上での大きな手術に耐えれるように、また貝の口が自然に開くことで傷つけることなく手術を行うためにとても重要な工程になっています。

【養殖に必要なもの】

真珠の養殖には核と真珠層を作り出す細胞のピースが必要です。

あこや真珠の核は主にアメリカミシシッピ川で採れるどぶ貝の貝殻を削り、そして作りたい真珠の大きさに合わせいろんな大きさの球体にしていきます。

そして、貝ヒモやミミと呼ばれる“外套膜”と呼ばれる膜で作られたピース。この外套膜は貝殻を作る働きのある膜で、この膜によって分泌された成分により核の周りに真珠層を形成します。

【インプラント手術】

 4月から7月になるといよいよ挿核シーズンです。人間と同じで貝の一つ一つ違います。この時、核とピースが離れてしまうと良い真珠はできません。貝を傷付けないように、核とピースがしっかりと密着するように一つ一つの貝をしっかりと観察し、注意深く作業をしていきます。

【養生】

 人間と同じで、大きな手術を終えたあこや貝には傷を癒し体力を回復する時間が必要になります。網に貝を並べ、穏やかな流れの中でゆっくりと回復を待ちます。

【沖出し】

 貝も生きているので、移植された核を異物と認定し外へ出そうとしてしまう時もあります。そこでキズの回復した貝はX線を使い、正しい位置に核があるかどうかの検査をします。そうして検査に通った貝は『吹き流し』と呼ばれる網に入れられ、穏やかで栄養豊富な海の中で真珠を育てていきます。

【浜上げ】

 核入れをしてから数年、いよいよ浜上げ、収穫の時期になります。収穫は12月の初めごろから始まり、この作業は真珠養殖のクライマックスとなります。この時期は水温も低く、よく引き締まって綺麗な真珠ができます。

 

真珠はほかの宝石とは異なり、カットされたり磨かれたりすることにない、海と貝、そして人の手の共同作業によってのみ作られる自然の宝石です。

このように丹精込めて作られた真珠のうち、宝石として使用されるのはたったの28%しかありません。しかしその残りの72%は捨てられてしまうわけではなく、粉末にして化粧品や薬品に加工されます。

また、貝殻は工芸品やボタンの原料に、真珠を取り出した後の身は魚の餌や肥料に、そして貝柱はお刺身やてんぷらなどにして食べられます。

このように真珠は一切捨てることの無い、無駄のない産業であり、SDGsに沿った産業であると言えます。

 

当店ではビデオを見ながらより詳しい解説を聞いていただけます。また、真珠の粉入りのお茶の試飲もして頂けますので当店へお立寄りの際は“知る”経験もお土産にいかがでしょうか?

 

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